神経難病(パーキンソン外来)
神経難病の一つであるパーキンソン病を中心に専門的な診療を行う「パーキンソン外来」を設置しています。パーキンソン病は脳内のドパミンが減少することで、手足のふるえや体の動きにくさが現れる病気ですが、適切な診断と治療の継続によって、長く自分らしい生活を維持することが可能な疾患です。
当院では、日本神経学会専門医である院長が、AI機能を搭載した1.5T(テスラ)超電導MRIを活用し、即日検査・即日診断体制を整えています。「歩きにくくなった」「手がふるえる」といった不安に対し、専門医の視点から迅速かつ的確なアプローチを行います。佐野市周辺で神経の病気にお悩みの方が、少しでも早く安心を取り戻せるよう、患者さん一人ひとりの症状に寄り添ったきめ細かな調整を行っております。
パーキンソン外来で診る症状
パーキンソン病やそれに類する疾患では、運動に関わる症状だけでなく、自律神経や精神面に関わる「非運動症状」も多く見られます。当院のパーキンソン外来では、以下のような多岐にわたる症状を総合的に判断し、診断につなげています。気になる症状がある場合は、些細なことでもご相談ください。
運動機能に関わる主な症状(4徴)
パーキンソン病の代表的な症状は「4徴」と呼ばれ、診断の大きな目安となります。これらは脳内の運動指令を伝える物質であるドパミンの不足によって引き起こされます。
- 手足のふるえ(振戦)・・静止している時に手足が細かくふるえることが特徴で、動かすと止まることが多いです。
- 動きの遅さ(動作緩慢)・・歩くスピードが遅くなる、細かい動作がしにくい、まばたきが減るなどの症状が出ます。
- 筋肉のこわばり(筋固縮)・・自分では気づきにくいですが、他人が手足を動かそうとすると抵抗を感じる状態です。
- 転びやすさ(姿勢反射障害)・・バランスを崩した時に立て直しにくくなり、転倒しやすくなる症状です。進行してから現れることが多いです。
日常生活で気づきやすいその他の変化
運動症状以外にも、生活の質に直結する様々なサインが現れます。これらの症状はパーキンソン病以外の神経疾患でも見られるため、専門医による慎重な見極めが必要です。
- 仮面様顔貌・・表情の変化が乏しくなり、周囲から「怒っているのか」と誤解されることがあります。
- 小刻み歩行・・歩幅が狭くなり、足が地面から離れにくくなる(すくみ足)状態が見られます。
- 書字障害・・文字を書いているうちに、だんだんと字が小さくなっていく現象です。
- 小声・単調な発声・・声に張りがなくなり、ぼそぼそとした話し方になることがあります。
非運動症状(自律神経・精神症状など)
運動機能以外の症状が、運動症状よりも数年前から現れていることも少なくありません。これらもパーキンソン外来での治療対象となります。
- 嗅覚障害・・カレーや焦げた匂いなどの強い匂いが分かりにくくなります。
- 便秘・頻尿・・自律神経の乱れにより、頑固な便秘や夜間の頻尿に悩まされる方が多いです。
- レム睡眠行動異常症・・寝ている間に大声を出す、激しく暴れるといった行動が見られます。
- 気分の落ち込み・・意欲の低下や、うつ状態といった心の症状が重なることがあります。
症状の詳細については「脳神経内科」のページも併せて参照してください。
パーキンソン外来で診る病気
パーキンソン外来では、典型的な「パーキンソン病」だけでなく、似たような症状を呈する「パーキンソン症候群」やその他の神経難病についても診察を行います。これらは治療法や経過が異なるため、MRIなどの画像検査と臨床症状を組み合わせて正確に見極めることが極めて重要です。
パーキンソン病
中脳の黒質という部分にあるドパミン作動性ニューロンが減少することで発症します。なぜドパミン細胞が減るのかは完全には解明されていませんが、適切な薬物療法への反応が良いことが特徴です。早期に診断を受け、リハビリテーションと併せて治療を開始することで、生命予後(寿命の見通し)も良好に保てることが分かっています。
パーキンソン症候群
パーキンソン病と似た症状を持ちながら、別の原因や病態があるものを総称して呼びます。一般的なパーキンソン病の薬が効きにくい場合もあり、専門的な管理が求められます。
- 進行性核上性麻痺・・目の動かしにくさや、早期からの転倒、認知機能の変化が見られる疾患です。
- 多系統萎縮症・・ふらつき(小脳症状)や、立ちくらみ・排尿障害などの強い自律神経症状を伴います。
- 血管障害性パーキンソニズム・・脳梗塞などの血管障害が原因で、下半身を中心に歩行障害が現れる状態です。
- 正常圧水頭症・・脳脊髄液が頭の中に溜まることで、歩行障害、認知機能低下、尿失禁を引き起こします。
もの忘れを伴う場合の診断については「もの忘れ(認知症)外来」のページを参照してください。
当院におけるパーキンソン病の検査体制
神経難病の診断には、問診や診察だけでなく客観的なデータが必要です。当院では患者さんの「今日知りたい」に応えるため、高度な検査機器を導入しています。
AI搭載1.5T MRIによる精密検査
当院では、AI機能を搭載した最新型の1.5T超電導MRIを導入しています。これにより、パーキンソン症候群との鑑別に必要な脳の微細な構造変化を鮮明に描き出します。日本神経学会専門医である院長が自ら画像を読影し、即日診断を行うことで、不安な時間を最小限に抑えます。
検査の詳細については「MRI検査」のページを参照してください。
血液検査とレントゲン検査
他の内科的疾患やビタミン欠乏、甲状腺機能異常などが原因で動きにくさが出ている可能性を排除するために、血液検査を行います。また、AI補助診断付きのレントゲン装置により、骨の変形や肺の状態なども迅速にチェックします。
パーキンソン病の治療法について
パーキンソン病の治療は、お薬による「ドパミンの補充」が柱となります。単にお薬を飲むだけでなく、症状に合わせて種類や量を微調整する「オーダーメイドの調整」が欠かせません。
薬物療法(メインの治療)
基本となるレボドパ製剤を中心に、患者さんの年齢や生活スタイルに合わせて数種類のお薬を組み合わせます。
- レボドパ製剤・・脳内で直接ドパミンに変わる最も効果の高いお薬です。
- ドパミン作動薬(アゴニスト)・・脳内のドパミン受容体を直接刺激し、効果を持続させます。
- MAO-B阻害剤・・脳内のドパミンが分解されるのを防ぎ、効果を長持ちさせます。
- COMT阻害剤・・レボドパの分解を抑え、脳内への移行を助けます。
進行期のコントロール
発症から時間が経過すると、お薬の効いている時間が短くなる(ウェアリングオフ)や、自分の意思に関わらず体が動いてしまう(ジスキネジア)といった現象が現れることがあります。当院では、お薬の服用回数を細かく分けたり、アデノシンA2a受容体拮抗剤やゾニサミドなどを併用したりすることで、毎月のように微調整を行い、症状の安定を目指します。
リハビリテーションと生活指導
お薬だけでは解決できない「転倒防止」や「筋力維持」のために、運動療法が非常に重要です。当院では日常生活での歩き方のコツや、ご自宅でできる体操などの指導も積極的に行っています。
パーキンソン病についてのよくある質問
Q1. 遺伝する病気ですか?
A1. 多くのパーキンソン病は「孤発性」と呼ばれ、遺伝とは関係なく発症します。ごく一部に家族性(遺伝性)のものもありますが、過度に心配する必要はありません。
Q2. 一度飲み始めた薬はずっと飲み続けなければなりませんか?
A2. パーキンソン病は長く付き合っていく病気ですので、基本的にお薬は継続が必要です。ただし、体調や症状の変化に合わせて種類や量を減らすなどの調整は常に行います。
Q3. 手がふるえないパーキンソン病もありますか?
A3. はい、あります。ふるえが出ないタイプの方もいらっしゃいます。その場合は「動きの遅さ」や「歩きにくさ」が主な症状となりますので、ふるえがないからといって否定はできません。
Q4. 難病指定の手続きはどうすればよいですか?
A4. パーキンソン病は「指定難病」の対象です。一定の重症度基準を満たす場合、医療費の助成を受けられる制度があります。診断の結果、対象となる方には当院で診断書(臨床調査個人票)を作成し、手続きのサポートをいたします。
Q5. 認知症とは違うのですか?
A5. パーキンソン病は主に「運動の病気」ですが、経過とともに認知機能に影響が出ることがあります。一方で「レビー小体型認知症」という非常に近い関係の病気もあります。当院ではどちらの可能性も踏まえて診療いたします。
当院のパーキンソン外来診療について
当院では、患者さんが一日でも長く、住み慣れた栃木県佐野市で自分らしく過ごせることを第一に考えています。神経難病という言葉を聞くと、大きな不安を感じるかもしれませんが、現在の医療では適切なコントロールによって良い状態を長く維持できる可能性が十分にあります。
当院の強みは、日本神経学会専門医である院長が、AI搭載の1.5T MRIを用いて自ら診断を下すスピード感と専門性です。しかしパーキンソン病およびパーキンソン症候群は、症状が多様で経過も個人差が非常に大きな疾患であり診断に時間がかかる場合もあります。RI(放射性同位元素)検査など特殊な検査が必要と判断した場合、近隣の大きな病院や大学病院での検査をお勧めすることもあります。
初診の段階で丁寧な説明を行い、患者さんやご家族が抱える「これからどうなるのか」という漠然とした不安を、具体的な治療計画に変えていきます。特にお薬の調整については、患者さん一人ひとりの反応を毎回の診察で細かくお伺いし、副作用を抑えながら最大限の効果を引き出せるよう、丁寧な微調整を繰り返します。私たちは、患者さんが転倒を恐れずに歩き、家族との会話や趣味を楽しめる日常を取り戻せるよう、全力でサポートいたします。
受診に関する詳細は「受診のご案内」のページをご確認ください。
